(1)相続の開始
人の死亡によって相続が開始します。亡くなった方が被相続人と呼ばれ、被相続人の財産が相続人に承継されることになり、これを相続といいます。
(2)登記事項証明書で現状を確認
相続登記の手続きを始める前に、相続の対象となる土地・建物の登記状況をしっかり確認しましょう。
確認のためには、登記所で「登記事項証明書」を交付してもらいます。
誰もが所定の手数料を支払って、全国どこの登記所でも登記事項証明書の交付を請求することができます。
交付請求の方法は、登記所の窓口での請求、郵送での請求、オンラインによる請求の3通りがあります。
(3)遺言書の確認
相続手続きを進める際に、一番に確認しなければならないのは「遺言書」の有無の確認です。
遺言書がある場合は、原則として遺言に従って相続手続きを行います。
公正証書遺言は、遺言書の原本は公証役場で保管されていますので、「遺言登録システム」を利用して、遺言書の有無を確認します。
最寄りの公証役場から検索することができ、全国単位での検索は平成元年以降に作成されたものに限られます。(東京都内の公証役場で作成された遺言書は、昭和56年以降に作成されたものを検索できます。)
自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所で開封・検認の手続きを行わなければなりません。
勝手に開封したりしないよう注意しましょう。
(4-1)遺産分割協議
遺言書がない場合や、遺言書で一部の相続財産についてのみ相続分の指定がなされている場合などは、遺産(一部指定の場合は、指定分以外の遺産)をどのように分配するか決める必要があります。
誰がどの財産を相続するのかを、相続人全員で遺産分割協議して、遺産分割協議書を作成します。
(4-2)法定相続
遺言書がなく(遺言書による一部指定の場合、指定外の遺産)、遺産分割協議もしていない場合は、法定相続分に従って相続登記をすることが可能です。
(5)申請する登記所を調べる
登記を申請する場合は、土地・建物がある場所(所在地)を管轄する登記所に申請します。
登記所(登記の事務を取り扱っている法務局のことです)の管轄は、行政区画ごとに決まっています。
(6)添付書類の収集
相続登記の際に登記申請書に添付する書類などを収集します。
戸籍や住民票の収集は、自分でも可能です。
しかし、特に戸籍の収集は本籍地が遠隔地である場合や相続関係が複雑で収集する戸籍の数が多い場合などは、相当な労力・時間を要することがあります。
通常、相続登記には以下の書類が必要です。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍全部事項証明書など
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票の写し
・相続人の現在の戸籍全部事項証明書
・相続人の住民票の写し
・遺産分割協議書(遺産分割協議により相続する場合)
・印鑑証明書(遺産分割協議により相続する場合で申請人以外の相続人のもの)
・委任状(代理人による申請の場合)
戸籍などは本籍地の役所へ、住民票・印鑑証明書は住所地の役所へ交付を請求します。
本籍地が遠隔地であったり、収集する戸籍が多く大変な場合はこちら→
(7)登記申請書の作成および登記申請
登記の申請は、書面を提出する方法のほかに、オンラインによる申請が可能です。
法務局のホームページの「登記申請書の様式及びその説明」などを参照して登記申請書を作成します。
司法書士などの資格代理人に依頼すれば、この作業は司法書士が行ってくれます。
申請書が完成したら、添付書類とともに登記所に提出して登記申請をします。
その際に、還付を希望する書類がある場合には、その旨を申請書に記載し、書類のコピーを添付します。
(8)登記申請をした後
登記の内容、登記申請書および添付書類に不備がなければ、登記の完了後に登記完了証、登記識別情報(通知を希望しない場合を除く)が通知されます。
これらの書面は、登記所の窓口で受領するほか、郵送で受領することもできます。
登記識別情報通知書は、従前の登記済証に代わる本人確認手段として重要な書類ですから大事に保存してください。