土地台帳・家屋台帳

昭和35年3月までは、不動産の物理的現況は、土地台帳および家屋台帳に登録され、税務署に備えられていました。
一方で、その権利関係は登記簿に記録されており、この2つの制度が並立していました。
台帳は登記官が職権により登録できたのに対して、登記簿は申請主義が基本であることから、両者に不一致が生ずるなどの不都合がありました。
そのために、昭和35年に法改正が行われ、土地台帳・家屋台帳は廃止されて、登記簿に一元化されました。
それまで土地台帳・家屋台帳に記載されていた事項は、登記簿の表題部に移記された結果、登記は、「表示の登記」と「権利の登記」に分かれることになりました。

表示に関する登記

不動産の物理的形状や位置を登記簿に記載して、その客観的現況をそのまま公示することを目的として、登記簿の表題部に記録されます。
権利に関する登記が、正確かつ円滑になされれるための前提となります。
表示に関する登記は、原則として対抗力は認められていません。

【 特 徴 】
①申請義務

下記の者は、表題登記の申請をしなければなりません。
・新たに生じた土地または表題登記がない土地の所有権を取得した者
・新築した建物または区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者

②共同申請の原則の不適用

権利に関する登記は、登記権利者と登記義務者の共同申請が原則ですが、表示に関する登記では、 登記義務者(従前の登記名義人)が不在であるために、登記権利者による単独申請となります。

③登記官による調査権

不動産登記は当事者による申請が原則とされています。
しかし、表示に関する登記は不動産の現況を登記するものであり、所有者などからの申請がなくても、 実地調査権をもつ登記官が自ら職権を発動して登記手続きをすることができます。

権利に関する登記

不動産についての権利関係を記録しており、甲区と乙区に分けられています。
甲区には所有権に関する事項が、乙区には所有権以外の地上権、永小作権、抵当権などが記載されます。
これらの権利の保存、設定、移転、変更、処分の制限または消滅を公示します。
順位番号欄に、各事項欄の記載順序を表す番号を記載し、権利の優先関係が問題となったときには、登記の有無、先後が基準となります。

権利に関する登記は、当事者に申請義務がないために、相続が発生してもそのまま放置しているケースが多くみられます。
しかし、相続登記をしないで放っておくと、当事者に所在不明者が発生した場合に、相続分を確定することが困難になったり、すぐには登記を含めた相続の手続きができません。
また、相続が2回以上重なる(数次相続)と、誰が相続人かの調査に時間がかかるばかりでなく、相続登記の手続き費用手数料も高額となってしまう恐れがあります。

【 特 徴 】
①申請義務なし

権利に関する登記は、当事者に申請義務はありません。

②共同申請の原則

登記権利者と登記義務者による共同登記が原則です。

③登記官による調査権なし

当事者による申請の原則が適用されます。

<登記事項証明書のサンプル>
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