遺産分割協議書
遺産分割協議が終わり、各相続人が取得する財産が確定したら、後日の紛争を予防するために、遺産分割協議書を作成して、各相続人が証拠として保存します。
また、遺産の名義変更のために、法務局、銀行などに遺産分割協議書を提出する必要があります。
遺産分割協議書の書式
分割協議書には、法令などで特に決められた様式はありません。
分割協議に基づいて協議書を作成した後、相続人全員が署名または記名して、印鑑登録済みの実印で捺印します。
相続人全員が一堂に会して協議したうえで、合意の結果を協議書にまとめるわけですが、あらかじめ相続人の1人が協議書を作成して、他の相続人が順次これに署名・捺印して作成する方法なども取られます。
いずれの場合にも、遺産分割協議書に相続人全員が意義なく署名・捺印することによって、遺産分割協議は完了します。
遺産分割協議書に関する判例など
- ・相続人の一部を欠いたままなされた遺産分割協議は、原則として無効である(最高裁家庭局回答 昭和32年6月21日)
- ・相続人の遺産分割協議での意思表示が、錯誤または詐欺による場合は、遺産分割協議は無効または取り消されることがありうる(錯誤につき、最高裁判決 平成5年12月16日)
- ・相続人が遺産分割協議で決めた約束を守らなかった場合、債務不履行に基づく解除が可能か問題となるが、判例はこれを否定(最高裁判決 平成元年2月9日)
- ・相続人全員の意思に基づき、遺産分割協議を合意解除することは、合法(最高裁判決平成2年9月27日)
- ・当初行った遺産分割協議に瑕疵があったこと等以外の遺産分割協議のやり直しは、税金上は贈与等に該当するものとして贈与税の対象となる
遺産分割協議書の文案作成上の注意
- ・「だれが」「どの財産を」「どれだけ」取得するのかを明記する。
- ・分割協議現在、判明していない相続財産が発見された場合に、誰が取得するのかを記載しておく。
- ・住所は印鑑登録証明書のとおりに記載する。
- ・各相続人が1通ずつ保管できるように、相続人数分作成する。