遺言の証人または立会人

 公正証書遺言や秘密証書遺言の場合は、証人や立会人が必要となります。
以下の欠格事由に該当しない者は、証人または立会人になれます。

①未成年者
②推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族
③公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人

遺言執行者

 遺言のとおりに相続財産を処理する者で、遺言による指定または遺言で指定の委任を受けた者の指定による他、利害関係人の請求によって家庭裁判所が選任する場合があります。
遺言の執行が業務として法令で規定されているのは、弁護士と司法書士です。
その具体的な業務は、以下のとおりです。

①相続財産目録の作成
②相続財産の管理
③その他遺言の執行に必要な一切の行為

遺言執行者は誰でもなれるのか

以下の欠格事由に該当しない者は、遺言執行者になれます。

①未成年者
②破産者

遺言の撤回

 遺言者は、いつでも遺言を撤回できます。
遺言は、遺言者の最終意思を尊重するための制度であることから、遺言者がいったん遺言書を作成しても、自由にいつでも、その全部または一部を撤回でき、これを遺言撤回の自由といいます。
また、遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することはできません。
 遺言の撤回は、遺言の方式によらなければなりませんが、先に作成した遺言と同じ方式である必要はなく、例えば公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回してもかまいません。

遺言の撤回とみなされる行為

 遺言者が前にした遺言の趣旨と抵触する以下の行為をした場合は、抵触した部分は撤回したものとみなされます。

①前の遺言と客観的に抵触する内容の遺言
②前の遺言と抵触する、売却などの生前の法律行為
③遺言者が故意に遺言書を破棄した場合は、その破棄した部分について

 ただし、公正証書遺言の場合は、原本は公証役場に保管されているため、遺言者が保有する正本を破棄しても、遺言撤回の効力は生じません。

④遺言者が遺贈の目的物を故意に破棄した場合、その目的物について

遺言の撤回と取消し

①撤回の撤回

 遺言を撤回する第2の遺言または行為がさらに撤回された場合には、第1の遺言は復活しません。
これは、第2の遺言の撤回があったとしても、遺言者が第1の遺言を復活させる意思でしたのかどうか、遺言者の意思が不明であるためです。

②撤回の取消し

 遺言の撤回とみなされる生前処分行為が、制限行為能力者の行為であることを理由として取り消されたり、第1の遺言と抵触する第2の遺言による受遺者が、遺言者よりも早く死亡したことによって、第2の遺言の効力が生じなかった場合なども、第1の遺言は復活しません。
 ただし、遺言の撤回が詐欺・強迫によってなされたために取り消された場合は、前の遺言は復活します。
この場合には、前の遺言を復活させる遺言者の意思が明白だからです。