戸籍を読解して相続人を確定

 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本がすべて揃ったら、その戸籍を読み解いて亡くなった方(被相続人)の財産上の権利や義務などを引き継ぐ相続人を確定させます。
親族的身分関係を正確に読み取る作業が必要になります。そうでなければ、相続人であるべき人が漏れたり、あるいは誤った人が相続人に加わってしまう恐れがあります。
 その読み取りは、複数の戸籍、そして様式や記載方法が異なる戸籍から読み取らなければならない可能性があります。

 なぜなら、相続人を確定するためには現行戸籍だけではなく大正4年式戸籍やさらに遡って明治31年式戸籍を調べる必要があるかもしれません。
そのような場合には、それぞれの年式の戸籍が作成された期間や編製原因・消除原因に注意をして戸籍を読み取っていくことになります。

相続人の戸籍等の取り寄せ

 相続人が確定したら、今度は相続人全員の現在の戸籍を取り寄せます。
 また、相続手続きによっては、戸籍の附票や相続人全員の印鑑証明書が必要となります。これらを取りそろえれば、次は個別の銀行、法務局その他での手続きとなります。

戸籍の附票

 新たに戸籍が作成されたときに本籍地の市区町村で作成される書類で、戸籍が作成されてからの住所が記載され、住所を変更すると新たな住所が追記されます。
記録されている住所は、そこを本籍としている期間のものだけです。主に、住所の移り変わりなどを証明する際に使用されものです。

 具体的には、自動車や不動産の売買による名義変更(移転登録・登記)の際に、売主(変更前の登記名義人)が2回以上住所変更している場合などに、変更の事実を証する書面として住民票の除票または戸籍の附票が必要となります。

【事例1】

年月 事実関係 Aの住所地 Aの本籍地
平成25年5月 Aが新車を購入し登録 東京都世田谷区 東京都世田谷区
平成26年3月 Aが福岡に転居 福岡市南区大楠 東京都世田谷区
平成27年4月 Aが同区内で転居 福岡市南区高宮 東京都世田谷区
平成28年1月 AがBに車を売却 福岡市南区高宮 東京都世田谷区

上記の事例では、平成28年1月にAからBに車の所有権が移転していますので、車の名義をAからBに変更(移転登録)することになります。
売却の時点で車検証のAの住所が新車購入時の住所(東京都世田谷区)であるとすると、住民票には現在の住所(福岡市南区高宮)とその前の住所(福岡市南区大楠)しか載っていません。

そうすると、車検証に記載されているA(東京都世田谷区)と、売主A(福岡市南区高宮)が同一人物であることは、住民票だけでは証明することができません。

このような場合は、Aの本籍地(東京都世田谷区)に戸籍の附票の交付を請求します。
この例では、本籍地は移転していませんから、Aの住所地の変更の推移が戸籍の附票によって確認することができます。

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